days of thousand leaves

文学研究者のひとりごと

研究会へ

日曜日は坂口安吾研究会の研究集会でした。


お邪魔していた湯河原は、地元のマラソン大会のために交通規制が
ある、ということだったので、マラソン大会が始まる前に出発し、
安吾研にもなんとか遅刻せずに参加することができました。



今回はゲストなし、研究発表2本というシンプルな会で、参加者も
決して多くはなかったのですが、活発な意見が交わされていました。
内容は、占領期における安吾歴史小説を扱った発表と、
同じく占領期の安吾の評論を扱った発表で、いずれも手堅い文献調査
に基づくもの。


近年、資料へのアクセス環境が格段に整備されてきていることを
思えば、こうした調査は必須の前提という感じになっているわけで、
お二方のレジュメはこの点で、充実した内容でした。


それにしても、例えばプランゲ文庫のデータベースでキーワード
検索をかければ、たちどころに文献リストが提示されてしまう、
というような研究環境では、もはや調査することそれ自体に
研究者のアイデンティティを求めることはできないわけです。


並べられた資料体を俯瞰したら何が言えるのか、ということこそが
求められることになるわけですが、自戒を込めて言えば、そうした
視点は、往々にして失われてしまう…。


しかも、さまざまなテクストは、それ自体が単体で存在している
わけではなく、メディアの中での応答関係にあり、しかもその
応答たるや、しばしば誤読と誤配に満ちていたりする…。


特定のキーワードで言説群を切り抜けば、当然そうした動態としての
テクストのありようは取りこぼされてしまいもする…。


研究会のウェブサイトに印象記を寄稿することになっているので、
詳しい感想は、また改めて。


夜は高田馬場周辺で懇親会&二次会。
ちょっと飲み過ぎてしまったのか、今日は頭がすっきりしません。