days of thousand leaves

文学研究者のひとりごと

最近の仕事(2014年6月分)

防空と空襲(コレクション・モダン都市文化 第100巻)』
(2014年6月、ゆまに書房


田辺平学『空と国 防空見学・欧米紀行』(一九四三年、相模書房)および神宮寺晃『姿なき空襲』(一九四三年、新泉社)の二冊を写真版で収録したシリーズ最終巻の解題、関連年表と巻末エッセイを担当。


『空と国』は対米英開戦直前にヨーロッパ視察を行った防空建築の専門家による紀行文。往路はシベリア鉄道で渡欧、刻々と国際情勢が緊迫する中で視察を行い、復路はアメリカ〜ハワイ経由で帰国すると間もなく真珠湾攻撃、という、何ともスリリングな旅の記録。


『姿なき空襲』は上海を舞台とした防空スパイ小説(?)とでも呼ぶべき奇妙な小説で、「空襲」と題しながら実際の空襲は描かれない。文字通り「姿なき」空襲をめぐる情報戦を扱った興味深い小説で、作者の「神宮寺晃」が何者なのか、結局わからないままになってしまったのが心残り…。